ハートネットTV「シリーズ 障害者施設殺傷事件から1年 第2回 暮らしの場をつくる」感想
2017年7月25日20:00~放送のハートネットTV「シリーズ 障害者施設殺傷事件から1年 第2回 暮らしの場をつくる」
http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/program/?id=201707252000
を見た。
相模原障害者殺傷事件から1年、津久井やまゆり園で暮らしていた障害者たちは現在別の施設に散り散りになって仮住まいをしている。
今後、もとあった場所に大型施設を再建設するか、もしくはグループホームを多数建設するか、ということで家族や行政の意見が割れている。
そんな問題から、重度の知的障害者の暮らしの場について特集をしたのがこの回。
番組の中で紹介されていたのは、
「札幌市自閉症者自立センターゆい」(北海道札幌市)
社会福祉法人 はるにれの里|札幌市自閉症者自立支援センター ゆい
という施設。
ここは主に行動障害のある自閉症の人のための短期入所施設だ。3年間をめどに入所し、行動障害へ対処し、グループホームで生活するための準備と訓練を行うのだという。
従来の「一生閉じ込め」の施設と違い、あくまでも地域で生活するための基礎を作る通過地点、として位置づけられているのが注目すべき点だ。
ここを“卒業”してグループホームへと巣立っていく人も大勢いるという。
他害や自傷などの行動障害から施設で問題を起こし、また同様の問題からグループホームでも暮らせない、という人を受け入れていると言っていた。
グループホームへと行った後も、近隣の地域のスタッフ同士で情報のやり取りをしているので、個人の状況に合わせてゆいへと戻ってきて落ち着くまで暮らす、というのも可能だそうだ。
そんな施設があるなんて全然知らなかったから、「へえ~」と驚きだった。
番組ではまた、NPO法人生活支援センター「グッドライフ」(東京都東久留米市)という事業者も紹介されていた。
このグッドライフでは、重度の知的障害者の「一人暮らし」を支援している。
7人の介助者が交代で泊まり込んで24時間介助する形だ。
施設もグループホームも向いていない、というタイプの人がこの暮らしを選択している。
番組に登場した男性は、行動障害があって集団生活が難しく、また騒音などで近隣トラブルを避けるために一軒家を借りて生活していた。都内の一軒家で家賃は8万5千円。うーん、ちょっと高い気もするけど、その他のメリットを考えるとまあ仕方ないんだろうな。
驚いたのは、何かが気に食わなかったのか、突然聞いていたCDをハサミで切り刻み出した男性に、介助者の男性が気分転換をさせようと「じゃあ、料理手伝って」と食材を切るために包丁を手渡したシーン。
ド素人からすると「危なくない!?」と感じてしまったが、それはその男性のことを私が何も知らないからそう思うだけで、日頃から接している介助者は特に彼に危険性のないことを熟知しているのだろう。
「障害者は危ない奴」という誤認は、やはり「知らない」ことから来ているんだなと実感した。障害児を育てている私ですら、道ですれ違うボソボソ呟いていたり大声を出している知的障害者(もしくは精神障害者)に出会えば警戒してしまうので、「知らない」というのは罪なことだなぁと思った。
障害者施設やグループホームの建設を近隣住民が反対したりするのも、こうした「知らない」ことから生まれる恐怖が引き起こしているんだろう。
24時間介助とはいえ、別に監視されているわけじゃなくて、あくまでも生活の支援と見守りといった感じ。地域の清掃活動に参加したり、障害者のバンド活動に参加したり、重度知的障害の男性だけど、テレビで見る限りは結講楽しそうに生活していた。
「あー」とか「うー」とかで全然意思疎通ができない(ように見える)重度の知的障害者でも、施設以外の選択肢があることが目からウロコ。
全人口の6%は障害者だというのに、私の友達には一人も障害者がいない、というのは、やっぱり変なだなと思う。
隔離ではなく、地域で暮らすことで、「障害者がいるのが当たり前」になれば、もっと福祉への理解も進むだろう。
我が子が大人になるまでに、もっと障害者が地域に溶け込んで生活できるようになればいいなと切に願う。